出版企画書を自分で書く場合の注意点

 

出版企画書を読むのは100%編集者

300万円という大きな金額を扱う仕事をするなら、どんな人と一緒に仕事をしたいでしょうか。

私なら、最低限の条件として、少なくとも社会人としての常識やマナーがあり基本的なビジネススキルを持っている相手を選びたいと考えます。

 

あなたの出版企画書を読む編集者も、おそらく同じことを考えているでしょう。

でも稀に、今挙げたようなことが足りていない人がいるのです。

あなたが送った出版企画書を最初に手に取るのは、ほぼ100%編集者です。

その編集者というのは、常に複数の案件を抱えており、連日深夜まで働いている人がほとんど。

端的に、多忙な人なのです。

 

多忙ですから、サクサクと仕事を進めていきたいと常に思っていますし、制作物の品質に関わる創造的な作業にできる限り時間を費やしたいと考えていますから、メールチェックなどの事務仕事は、要不要を瞬時に見分け作業していきます。

ですから、そのような多忙な編集者に自分が送ったメールを見てもらえるかどうかは、実は送る段階から既に勝敗が決まっています。

メールを丁寧に見るか見ないかの判断基準は、メールアドレスや連絡先、それからメール本文に書かれた文面から読み取れます。

「仕事のできる人かできない人かどうかは、メールを見ればすぐにわかる」と言う人がいますが、それには私も同感です。

 

編集者として、いろいろな人からメールをいただいていますが、確実に読まないメールは決まっています。

それは、フリーメールを使ったメールアドレスから送られてきているもの。

そして、きちんとした連絡先の記載がなく、どこの誰だか判別できないもの。

さらに、ビジネスメールの基本的な挨拶がされないものや友人同士のやりとりを思わせる文面のものです。

どのようなメールを送ればいいかどうか、ここでは敢えてふれません。

 

自信がない人や実はよくわかっていないという人は、ビジネスメールや文書の方法が書かれた書籍を購入し、自分で調べましょう。

少なくとも、そのくらいのことが普通にできる人でなければ、相手にしてもらえないからです。

 

編集者は出版企画書から何を読み取るのか

出版企画書の良し悪しの判断基準が明確にあるわけではありませんが、編集者ならではの視点があります。

その視点とは、主に次のようなことです。

どんな書籍が出来上がるのか?

出版企画書に書かれている内容を見て、どのような書籍になりそうかをイメージします。

書籍の大きさや厚み、中の誌面イメージなどを想像するのです。

この時に、編集者が想像できないような情報しかないとしたら、あなたの企画書がよくないということです。

 

出来上がりイメージとは、ハードカバーにして欲しいとか、こういう印刷にして欲しいなどという仕様の細かさのことではありません。

大まかに「あの〇〇という書籍のようなイメージかな」ということが想像できるかどうかが大事だということです。

書店でどの棚に置かれるのか?

次に、書店のどの棚に置いてもらえる書籍になるのかについても考えます。

既に述べましたが、書店にはジャンルやテーマごとに棚が分かれています。

新刊として出たすぐは、平積みにされる書籍も多いですが、時間が立つと棚差しと言って、書棚に並べられるようになります。

書籍が平積みから棚差しに変わる際、どこに置かれるのかが非常に重要です。

 

書店員も日頃からたくさんの書籍を扱っていますし、忙しいですから、書籍の整理の時にいちいち書籍の中身を見て確認してから棚に差すというようなことはしません。

パッと表紙やタイトルを見て、そこから連想されるジャンルの棚に並べていくのです。

 

それを考えると、きちんと書籍のターゲットとなる人と、書籍が置かれるであろう棚が一致しているかどうかが重要です。

極端な話、経営者向けの書籍が女性の恋愛系書籍の棚に置かれていたら、その書籍はターゲットとなる人たちから気付いてもらえません。

気付かれなければ、売れることもないですから、ゆくゆくは売れなかった書籍として返本される可能性が高くなってしまうのです。

きちんとその書籍を購入してもらえるのか?

書店を訪れた人が、その書籍をちゃんと手に取ってくれそうか。

あるいはレジに持っていきやすいかどうかも重要です。

例えば似たような書籍が並んでいたら、それだけで選ばれにくくなりますよね。

似たような切り口の書籍があり、ライバルの著者が有名な人だとしたら、著者として無名なあなたの書籍が買われていくことは少ないはず。

ということは、同じ棚のライバルとなる書籍の中から、「これにしよう」と選んでもらえるだけの何かがないといけないのです。

 

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