出版企画書の必須項目ごとの書き方

 

まずはコンセプトコピーからタイトルを考える

出版企画書のコンセプトを考えましたが、その考えたコンセプトコピーをもとに、書籍のタイトルを考えていきましょう。

ここであなたが決めた書籍のタイトルは、実際に出版されるときのタイトルになるとは限りません。

ですが、編集者にきちんと読んでもらえる企画書に仕上げるためにも、タイトルは重要です。

思わず編集者が作業の手を止めてしまうような、興味をひくタイトルを考えてみましょう。

 

タイトルの付け方としては、【○○なのに、△△した☆の方法】というコピーをベースに考えると外しません。

それぞれの記号のところに入れる内容としては、次の通りです。

○○には、対象(ターゲット)や手法などを入れる

「初心者」「運動音痴」「主婦でも」のような読者ターゲットを連想させる言葉や、「サルでもわかる」あるいは「朝たった10 分でできる」といった、手法を入れましょう。

△△には、読後の到達点を入れる

読者が書籍を読んだ後にどうなれるのか、その到達点を入れてください。

例えば、「月収100万円」とか「マイナス10キロ」などがあります。

☆には、数字を入れる

実は編集者は、数字の入ったタイトルが大好きです。

これはもちろん、編集者の個人的な趣向ではなく、数字を入れた方が読者に具体的に伝わりやすく、書籍が売れやすいからという理由があるからです。

 

無理に数字を入れようとしなくてもいいのですが、もしも数字を入れるのであれば、どこか1箇所に入っていれば十分です。

〇〇のところに入っているのなら、△△のところには数字はなくて構いません。

 

その他やった方がいいことは、タイトルコピーの中のどこかに、ターゲットが検索しそうなキーワードを入れておくことです。

ここでいうキーワードとは、ネット書店で検索するときに使うキーワードになりますし、書店員が棚を選ぶ際にも影響します。

 

例えばアフィリエイトに関する書籍であれば、それが間違ってまったく違う棚に置かれてしまわないよう、タイトルのどこかにアフィリエイトというキーワードを入れておくと良いです。

 

企画の魅力を編集者に伝えるための企画概要

企画概要とは、その企画がどのような内容なのかを伝えるためのものです。

企画概要をダラダラと書く必要はありませんが、それを読んだ出版社が300万円の投資をしたくなるような内容にする必要があります。

企画概要に求められる要素としては、主に次のようなことがあります。

今、その書籍が必要な理由

編集者から「それは今出さなくてもいいのでは?」と思われてしまったら、先延ばしにされてしまいます。

連日、どんどん出版企画書が送られてくる編集者が一度先延ばしにした企画書は、二度と戻ってこないくらいに考えてもいいと言っても過言ではありません。

ですから、「この企画は、今だからこそ売れる」と言えるような理由や根拠が必要です。

そのような理由や根拠を作るためには、時事ネタを引き合いに出すのがオススメです。

切り口や書籍の存在意義

あなたの企画は誰(ターゲット)に向けられたものであるのか。

そしてその人たちのどんな役に立てるのかについて書きましょう。

この時、先ほどの時事ネタから起因したターゲットであることが大事です。

その書籍が売れる理由や根拠

いくらあなたが「今出版すべき」と訴えたとしても、やはり出版社側としてはビジネスとして行っているわけですから、その発言に根拠を求めたくなります。

何をもってそう言えるのかを知らなければ、良し悪しを判断することすらできません。

 

出版社に対し「今出版するべき」と説得するのであれば、理由や根拠として必要なことは、類書との差別化をどうするのか、その企画のテーマにおける市場規模など、売れる根拠をできるだけ数字を使って説明してください。

書籍のイメージや特徴

次に、書籍のイメージや特徴です。

「スリーステップで解説する」とか「手順を一切省かずに解説」など、書籍の特徴やイメージが掴めるような説明を入れましょう。

 

企画概要で大切なのは、この企画で出版すると売れると言える、その根拠と現実性です。

今まで説明した企画概要は、10行くらいで簡潔にまとめましょう。

 

書籍を買ってくれそうな読者ターゲット

読者ターゲットを考えましょうと言うと、性別な年齢、職業などで想定しようとする人が多いのですが、属性で判断するよりも、ターゲットの思考にフォーカスして考えた方がうまくいきます。

属性で考えるとは、先ほど挙げたように「20代の女性」とか「40代のサラリーマン男性」という括りで考えることです。

一方、ターゲットの思考にフォーカスして考えるというのは、「〇〇を解決したい人」とか「〇〇を手に入れたい人」のように、ある悩みや欲求で括ることです。

 

 

副業で稼ぎたいという欲求を持っている人が、その解決策を求めて書店に訪れたと想定しましょう。

この場合、ターゲットは「副業で稼ぎたいと思っている人」であり、性別や年齢、職業などの属性は一切関係ありません。

20代の女性でも50代の男性でも、サラリーマンでも自営業者でも、同じ悩みを抱える可能性は十分あります。

 

この時、ターゲットを「副業したい20代の女性」と絞ってしまうと、それは絞りすぎです。

限定することで、ターゲットに強く訴求できるとはいいましたが、この場合はただ市場を小さくしているだけ。

具体的にしすぎて市場を自ら小さくしてしまい、結果売れないと判断されるものを作ってしまわないようにしましょう。

 

そもそも実用書とは、ターゲットの悩みや欲求の答えを提供するものでした。

このことを踏まえると、読者ターゲットとして定めるのは、やはり属性ではなく、特定の悩みや欲求に該当する人とした方が、実用書のそもそもの目的と合致します。

どんな悩みや欲求を抱えた人をターゲットにするのかは、みなさんの企画内容によってさまざまあると思いますが、その市場規模は少なくとも3000人以上のポテンシャルを感じることが何より大切です。

 

そしてその悩みや欲求を解決しようと行動を起こす先が、書店であることも重要です。

これも既にお伝えしていますが、緊急性が高いものなどは、解決するために書店に向かわず、直接お店に向かったり、インターネットでサービスを検索したりするからです。

 

読者に分かりやすく伝えるための構成案

出版企画書に書く構成案とは、いわゆる書籍の目次のことです。

 

書籍の目次は、章・節・項と呼ばれるまとまりに分かれています。

章や節までは、ビジネス書類でもよく使われるので馴染みがあるかと思いますが、項まではあまり見かけないという人もいるかもしれません。

章・節・項は、次ページの図のようなイメージで、項へいくに従って、扱う話題の範囲がどんどん狭くなっていきます。

 

例として、今あなたが読んでいるところを取り上げてみましょう。

 

この章のタイトルは、「出版社に採用される出版企画書の作り方」です。

そして節タイトルは、「出版企画書の必須項目ごとの書き方」。

項タイトルは「読者に分かりやすく伝えるための構成案」です。

 

この章で伝えたいことは、文字通り出版企画書を作る方法です。

私のような編集者の作る企画書ではなく、一般の人が出版社に企画書を持ち込む際に必要なことを伝える章です。

 

次に、この章は、4つの節に分かれています。

章が大テーマだとしたら、節は中テーマです。

この節タイトルは、出版企画書の必須項目ごとの書き方とありますから、企画書に必要なそれぞれの項目について、どのように書くべきかをひとつひとつ丁寧に解説しています。

 

 

書籍の大まかな構成が理解できたら、次は、それらを全体としてどのようにまとめたらいいのかを説明します。

読者にとってわかりやすく、かつ読後にきちんと満足感を得てもらえるような構成としては、次のページの図を参考にしてください。

 

一般的に、書籍の目次は大体6章立てで作られます。

書籍の中で1章になる部分というのは、その書籍を読むモチベーションを高めさせる役割があります。

ですから、読者が「なるほど、そうなのか」と納得し、「最後まで読んで勉強しよう」という気持ちになってもらえる内容にする必要があります。

1章で書くべきことは、著者がどのようにしてそのノウハウを身に着けたのか。

そしてそのノウハウが良いと言える根拠です。

 

1章で読者のモチベーションを高めさせたら、次にすべきことはそのノウハウの全体像を見せてあげることです。

勢いよく始めても、全体像がなかなか見えないと人は不安になってしまうもの。

登山に例えるとわかりやすいですが、自分が今どのくらい進んでいるのかがわからないので、不安になり途中で挫折してしまうのです。

ですから、2章では書籍に書かれているノウハウの全体像を説明し、それに取り組むために必要なことがあればそれを解説していきます。

 

3章では、ノウハウの全体像を理解してもらった後にまず取り掛かることを説明します。

そして4章、5章ではさらに読者がやるべきことを伝えます。

最後6章では、それまでに学んだことのまとめを行い、ノウハウを実践する上での注意点を伝えていきます。

 

 

構成を考える上で最も大切なことは、なんといっても読者との約束が守れているかどうかに尽きます。

読者との約束とは、書籍のタイトルに書かれていることです。

書籍をひと通り読んだ読者が、タイトルに書かれている状態になれなければ、書籍やそれを書いたあなたに対してがっかりした気持ちになるでしょう。

中には「損をした!」と怒る人さえいます。

タイトル通りの内容になっているかどうか。

内容を出し惜しむことなく読者の満足だけを考えましょう。

 

出版できる根拠を書く著者プロフィール

出版企画書に書く著者プロフィールは、そのノウハウを書くにふさわしい人物かどうかを見定める根拠です。

 

出版社の人から、そのノウハウを執筆するのは他の人でもいいのではないかと思われてしまったら、あなたの出版のチャンスは遠ざかってしまいます。

ですから、自分がなぜ書く必要があるのか、その根拠の部分までしっかり伝えましょう。

 

著者プロフィールに必要な内容には、次のような内容が含まれているといいでしょう。

  • あなたの肩書きは何ですか?
  • なぜ、この仕事を始めましたか?
  • いつ、ノウハウを身につけましたか?
  • 身につけて何が変わりましたか?
  • ノウハウ関連で、誇れることは?
  • 実践した人はどうなりましたか?
  • 今後、どんな活動をする予定?

出版企画書に必要なプロフィールは、その書籍を出版するのにふさわしい人物であるかどうかがわかることが重要です。

なので、何も自分のこれまでの人生の全てを書かなくても大丈夫です。

自分が凄い人であることを無理に伝えようとして、人生の紆余曲折を事細かに書かれる人もいらっしゃいますが、まったくその必要はありません。

 

必須項目ではないが入れた方がいい項目

みなさんが自分で出版社へ企画を売り込む際に、企画書に含まれていた方がいい項目としては、次の3つがあります。

その3つとは、類書、書籍の仕様、そして販売促進に関することです。

類書について

類書とは、あなたが提案する企画のライバルとなる書籍です。

類書を挙げることで、編集者は書籍のイメージがしやすくなりますから、一番売れていそうな類書を挙げてください。

 

類書がわかれば、書店のどこの棚に置かれるのか、あるいはどのくらい売れそうなのかを検討でき、その企画に投資する価値の有無を判断できます。

売れていそうな類書を挙げ、その上でその類書との差別化をどのようにするのかを書いてください。

「自分のつくる書籍に類書はありません」と仰る人もいますが、これだけ多くの書籍がある中、類書がないとはどういうことなのかを一度考えてみてください。

まったく新しいカテゴリやジャンルのものであれば話は別ですが、そうでない場合、市場規模が小さすぎるなどの理由があるはず。

出版社が出版をビジネスで行っている以上、類書がないということは、それなりの理由があるのではないでしょうか。

書籍の仕様について

仕様とは、書籍の完成イメージのことです。

書籍のサイズやページ数などを書いてください。

扱うテーマによって書籍の作り方は異なりますが、書籍の中身がどのようなものになるのか、できるだけイメージできるようにしてください。

書籍のカバーのデザインまでされる人もいますが、カバーは出版社が考えますので、あまりやっても意味がありません。

ですが、書籍の帯に著名な人からのコメントがいただけそうな場合は、それを書いておくと有利です。

 

出版企画書というのは、あなたが出版社に対して「こういう企画で出版させてください」と提案するものです。

ということは、出版社があなたの企画書を受け取った時、「この人はこういう本が出したいんだな」というスタンスで企画書に目を通します。

 

ですから、あなたの希望をあまりに書きすぎると、それだけで通らなくなる可能性もあります。

例えば、仕様のイメージとしてあなたが「ハードカバーだったらいいな」くらいのつもりで、「ハードカバー」と書いたとします。

でも、その企画を受け取った編集者が「企画の内容は良いけど、ハードカバーは難しいな」と思った場合、その希望を通すことができないので、企画は流されてしまいます。

 

このように、いくらあなたが「こうだったらいいな」程度のつもりで書いたとしても、企画書に書かれているものは条件として捉えられてしまいます。

あまりに細かく条件をつけすぎるとチャンスが遠ざかってしまいますから、気をつけてください。

販売促進について

販売促進とは、書籍刊行後の販促をどのように考えているのかという計画のことです。

 

綿密な計画を書かなくてもいいですが、「〇〇という媒体に広告出稿します」や「Amazonキャンペーンを行います」などと、どのくらい自分が書籍を売るために努力できるのかを示してください。

著者としてどのくらい売るつもりなのか。

ある意味販売促進の項目は、あなたの出版に対する本気度が見えるところでもあります。

この項目の中で、損益分岐点となる300万円分は売れるだろう。

それ以上も見込めそうだということがわかれば、出版社も企画に対し前向きになれます。

 

 

 


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