まずは出版企画のコンセプトを考える
出版すればビジネスが加速すると思い込んでいる人がいますが、ただ単に出版しただけではビジネスを加速させることはできません。
出版することで自分のビジネスを加速させたければ、加速させられるような企画を立て、出版社にそれを採用してもらうる必要があります。
ですからここからは、あなたのビジネスを加速させる出版企画の考え方について学んでいきましょう。
そもそも、出版企画というのはどのようにして作られているのでしょうか。
出版業界は他の業界と比べやや閉鎖的なところもあるせいか、出版に結び付けるための企画ノウハウはほとんど知られていません。
だからこそ、何か特別な考え方があるのではないかと思われがちなのですが、出版だってビジネスです。
ですから、企画の基本的な考え方は他のビジネスと同じだと思ってください。
では、一般的なビジネスとして何か企画を立てる際、最初にやるべきことは何でしょうか。
それは、これから立てる企画のコンセプトを考えることです。
コンセプトとは、商品やサービス、あるいはプロダクトの基礎となる考えのことです。
商品やサービスをどう作り上げるのかを考える際の、判断軸のような役割があります。
あなたが企画担当者として、新商品の開発を任されたと仮定して考えてみましょう。
商品開発においても当然、コンセプトを定めていくわけですが、もしコンセプトを考えずに商品を開発しようとしたら、一体何が起こるでしょうか。
おそらく、何を作っていいかもわからず手が止まってしまうことでしょう。
今、何を作るべきなのか。
そして、どう作るべきなのか。
それを考えるときのヒントになるのが、コンセプトだからです。
他にも、開発途中で試作品ができた時など、上司や周囲に試作品を見せてプレゼンする機会があります。
その試作品に対して「もっとこうしてほしい」「これを加えよう」など、そこにいる人たちがさまざまな意見を言ってきます。
でも、それらの意見を全部聞いていたら、いいものはできません。
どの意見を採用するか、あるいはしないのか。
それを判断する基準も、コンセプトにあります。
書籍だけでなく、家づくりにも芸術作品にも、世の中のありとあらゆるものにコンセプトがあります。
それほど、コンセプトは大事なものです。
話を出版企画に戻します。
出版企画を考える際、最初に考えるべきことは、やはりコンセプトを決めることです。
コンセプトを決めるときは、売れる出版企画に絶対に欠かせない3つの要素を必ず含まれているようにしてください。
その3つの要素とは、「対象」と「感情」そして「行動」です。
この3つの要素は、企画そのものを支える柱のようなものです。
売れる企画が立てられるかどうかは、それぞれの要素がどれだけ丁寧に考えられているかによります。
それではこの3つの要素を、それぞれどのように考えていけばいいのかについて順に説明していきましょう。
まずは、「対象」から考えていきましょう。
対象とは、ターゲットのことです。
出版企画における対象は当然、読者です。
ですから、対象となる読者はどんな人にすべきなのかを考えてください。
対象となる読者を考える際、年齢や性別などの属性で考えることはやめましょう。
実用書の役割を考え、相手がどのような悩みを持っているのか、あるいはどんな欲求があるのかというふうに考えてみてください。
次は「感情」です。
人は、感情を動かされないと行動できない生き物だといわれます。
説明は論理的にされる方がわかるのですが、書籍を読んだ後に読者に行動してもらうことを狙っていますから、論理的に説明するだけではいけません。
読者が読後にどのような感情になっていれば、その次の行動に移したくなるのかを考えてください。
例えば、あなたが投資の書籍を作るとするなら、その書籍を読んだ読者が、読後に投資がしたくてしょうがなくなるようにするには、どうすればいいのかを考えるのです。
最後に「行動」です。
行動のところでは、読後にどのような行動を取ってもらいたいかを考えてみてください。
本書の場合は、読後に自分のビジネスにつなげ、ビジネスを加速させると言う目的がありますから、自分のどのビジネスつなげるのかを考えましょう。
読後に「なるほど、ためになった」と思わせただけでは足りません。
読者が「早速やってみよう」などと、読後に行動に移したくなるような仕掛けになっていてはじめて、あなたのビジネスが加速していきます。
出版すればなんとかなるだろうと安直に考えてしまう人は多いですが、冒頭でもお伝えしたように、残念ながらそんなことは起こりません。
少なくともビジネスとして考えられるのであれば、狙った目的が達せられるよう書籍を通して意図的に伝えていく必要があります。
あやふやな設計図でまともな家が建たないのと同様、しっかり考えられていない企画では、せっかく出版しても得られる効果は少なくなってしまいます。
だからこそ、企画の大元となるコンセプトをしっかりと固めておくことが大事なのです。
ビジネスを加速させる出版企画を考える流れ
出版企画のコンセプトを考えることができたら、次にそのコンセプトを出版企画に落とし込んでいきましょう。
単に出版するだけでなく、きちんとビジネスを加速させるための出版企画の考え方は、次のような流れで考えていきます。
あなたがつなげたいビジネスは?・・・①
既に何かビジネスをされている人でしたら、自分の商品やサービスがあると思います。
コンサルティングや制作、カウンセリングなどさまざまなものがありますよね。
そのうちの、どの商品に読者からの申し込みを集めたいでしょうか。
「とりあえず、どれでもいいから自分のところへ申し込みがあればいい」というようなぼんやりした感じで考えてしまうと、申し込まれるものも申し込まれません。
考え方としては、1冊の書籍に対して1つの商品やサービスにつなげるという考え方をした方が、集客する上ではオススメです。
出版することでいろいろな効果を得ることはできますが、あれもこれもと考えず、「この本を読んだ読者には、このサービスに申し込んでほしい」と決めてしまうのです。
ターゲットとなる読者をどこへ誘導したらいいのか。
あるいは読者にどうなってほしいのか。
きちんと出口を設定し、ピンポイントで決めてしまいましょう。
そうしなければ、企画全体が抽象的でふんわりしたものになってしまいます。
それを必要としている人の悩みと欲求は?・・・②
読者を誘導する出口さえはっきりと決まってしまえば、「この商品を買えばこうなれます」というように、読者の悩みや欲求に対して的確に訴求できるようになります。
ですからあなたが次にすることは、出口にある商品やサービスを求めてくれる人たちはどのような悩みや欲求を抱えているのかを考えることです。
いきなりターゲットの悩みや欲求を考えることが難しい場合は、まずあなたのビジネスに申し込むことで得られるベネフィットはなにか、書き出してみるといいでしょう。
ベネフィットとは、ビジネスに申し込むことで得られる効果のことです。
この時、いきなり漠然とターゲットの悩みを考えてもなかなかうまくいきません。
ですから、自分のビジネスにつながるよう、逆算的に考えてみることをオススメします。
その人はどんな情報を探しているのか?・・・③
ターゲットの抱える悩みや欲求を考えることができたら、その人たちは、書店でどのような情報を探すのかと考えてみましょう。
例えば投資に関連する情報を探している人であれば、投資について基本的なことを知りたいと思っているのか、ハイリスクハイリターンの儲かる情報を探しているのか。
それとも、少しの手間で手堅く稼ぐ方法を知りたがっているのかということです。
ここで大事なのは、悩みや欲求の答えを書籍に求めるかどうかです。
あくまで今考えている企画は、商業出版の話ですから、書籍を購入する人たちが対象になります。
いくら情報を探しているとはいえ、パソコン修理の方法を書店でわざわざ探そうとする人はほとんどいないはず。
そんなことをするよりも、修理店へ駆け込んだ方が圧倒的に早く悩みが解決するからです。
「そんなの当たり前」と思われるかもしれませんが、案外自分のビジネスについて考えるとうまくいかないものです。
視野が狭くなり、自分都合で物事を考えてしまいがちです。
その点に注意しながらあなたの考えたターゲットが、悩みや欲求の答えを書籍に求めるかどうかを考えてみてください。
その人はどう思ったら申し込みたくなるのか?・・・④
最後に、ターゲットとなるその人たちは、自分の悩みや欲求を解消する方法が書かれている書籍を読み、どのように感じたらサービスに申し込みたくなるのかを考えてみましょう。
企画のコンセプトを考えるというところでは、読後に「なるほど、ためになった」と思わせただけでは足りません。
とお伝えしました。
人が行動するのは、決まって自分の感情が動かされたときです。
ですから、書籍を最後まで読んでくれた読者が、最後にどのような感情になれれば次の行動に出てくれるのか、そこをきちんと考えておく必要があります。
出版企画のコンセプトを一文にまとめてみる
さて、ここまででかなり出版企画の骨格が出来上がってきたかと思います。
企画のコンセプトを決め、それを元に先ほどお伝えしてきた流れに沿って考えることができたら、これまで考えてきたことを一文にまとめ、コンセプトコピーを作ってみましょう。
一文にすることで、あれこれ浮かんでいたいくつもの思考がすっきりし、自分がどのような企画で出版するのかが明確にわかるようになります。
次の文章の( )に、先ほど考えた内容を当てはめていくと、簡単にコンセプトコピーができます。
(②で考えたこと)に悩んでいるか求めている人に
⬇
(③で考えたこと)の内容で出版すると、
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(④で考えたこと)という状態になり、
⬇
(①で考えたこと)が叶うあなたのビジネスに申し込む
これだけではわかりにくいと感じる人もいらっしゃるでしょうから、ひとつ例を出して考えてみましょう。
ここでは、本書で何度か例として出てきている投資をテーマに取り上げてみます。
(例)
あなたは投資の専門家として、講座で投資の方法を提供しています。
あなたのバックエンド商品は、投資講座(①)。
その講座を受講したいと考える人たちは、働かなくてもお金が得られるようにしたい。
あるいは、毎月あと10万円くらい収入が欲しい。
でも、できれば楽をしたい。
という欲求を持っていると考えられますから、バックエンド商品である講座のベネフィットは、「毎月10万円程度の不労所得が手に入る」とします②。
そしてその人たちが書店でどのような情報を探そうとするかというと、小資本で投資を行う方法や、毎月10万円を投資で手堅く稼ぐ方法などです③。
その人たちは、「これなら、投資のためのお金をたくさん用意できない自分でも、失敗せずにできそう」と感じれば、バックエンドの講座に申し込もうとするのではないか④。
と、このように考えました。
では、これらを先ほどのコンセプトコピーに当てはめていくとどうなるでしょうか。
(働かなくてもお金が得られるようにしたい)と悩んでいる人に
⬇
(小資本でも毎月手堅く稼げる投資)の内容で出版すると、
⬇
(初期投資がたくさんできない自分でも、失敗せずにできるかもしれない)という状態
になり、
⬇
(毎月10万円程度の不労所得が得られること)が叶うあなたのビジネスに申し込むと、こうなります。
出版企画で大切なことは、「誰に何を伝えるか」ということです。
これは、出版に限らず、どんなビジネスにも通ずる話です。
逆にいえば、基礎となるこの部分が曖昧になっていると、ターゲットも伝えたいことも定まりません。
誰の心にも響くことのない企画を作ったところで、あなたのビジネスが加速するはずもありませんし、それ以前に出版企画が採用されることもないでしょう。
ですから、時間をかけてしっかりと練り上げてください。
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