ターゲットから信頼される企画にするために

 

一番の基本は、ターゲットの一冊目需要を狙う

出版不況と言われ数年経ちますが、それでも出版ビジネスがなくならないということは、それなりに書籍を求める人たちが存在しているということです。

 

では、あなたがこれから出版しようとする実用書を求める人たちは、どのような人たちでしょうか。

書籍を購入する人の傾向はある程度限られていて、それらはデータでもはっきりと示されているものがあります。

実用書の場合、書籍を購入する人は、それぞれのジャンルの初心者か専門家のどちらかに偏っている傾向があります。

 

初心者というのは、これからそのジャンルのことを学ぼうとする人のことです。

 

初心者は、何か特定の悩みを抱えているというよりも、広く浅くでもいいからそのジャンルのことについて知りたい。

という欲求を持っています。

広く浅く学ぼうとするなら、そのジャンルにとって大切なノウハウが体系的にまとめられている書籍を使って学ぶ方が圧倒的に早いからです。

 

一方、専門家はどうでしょうか。

専門家の場合、既にそのカテゴリやジャンルのことはある程度知っている人たちです。

体系的には理解していますが、そこからさらに細分化されたことを知りたいなどと、より高度な知識を求めています。

知識は、高度になればなるほど、理解するまでが大変です。

そういったことを理解する媒体としては、いくら動画が流行っているとはいえ、書籍から吸収するのがもっとも効率的です。

 

このことを踏まえると、あなたはどちらで出版すべきでしょうか? 少なくとも出版の目的をビジネスの加速においている点では、初心者向けに出版した方が明らかに有利です。

それは、次の図のように専門性が高くなればなるほど、実践者が少なくなり市場が小さくなっていくからです。

初版部数をしっかり売っていきたいと考えるなら、市場の大きい初心者に向けたものが良いといえます。

 

 

そして、企画を立てるなら、読者の1冊目需要を狙える企画を立てるようにしてください。

初心者の中にも、紙の書籍を読んで安心したいという人は一定数存在しますから、その人たちが最初に手に取る書籍になろうということです。

2冊目、3冊目に買われる書籍は、多くの場合が1冊目の内容を補完するために買われていきます。

 

できるだけたくさんの人に書籍を購入してもらうことを考えるなら、やはり1冊目に買ってもらえるようにするべきです。

書店の棚に並んでいる既刊書と比較して、よりわかりやすく、より簡単に書かれている方が手に取られやすくなります。

 

切り口をいろいろなパターンで考えてみる

現在書店に並んでいる既刊書の中から、自分の書籍を手に取ってもらいやすくするためには、差別化が必要です。

差別化というと難しく考えすぎてしまう人もいて、突飛なことを考えようとする人もいますが、同じテーマでも企画の切り口次第でいろいろなパターンを生み出すことができます。

企画を考えるときのパターンは本当にいくつもあるのですが、今回はその中でもよく使われる5つを紹介します。

 

強みを強調して落差をつける

「〇〇でも▲▲になれる」のように、ギャップを打ち出してみる方法です。

読者が想定していないような意外性のあるものだと、興味をそそられて手に取ってもらいやすくなります。

 

とくに前半部分の〇〇の部分には、「働かなくても」などハードルが低く感じる言葉を当てはめます。

そして後半の▲▲の部分には、「月収〇〇円」という理想の未来が想像できるような言葉を当てはめるといいです。

 

視点の高さを変えてみる

そのテーマについて、視点の高さを変えて伝えるという方法です。

 

視点を高くすれば、情報は浅くなってしまいますが、入門書のようなものであれば、テーマについて広く浅く全体を知りたいという人のニーズを満たすことができます。

反対に、ある特定の話題に特化し間口を狭くすることで、深い情報を与えることも可能です。

 

業界の内外で考えてみる

限られた知識を持っている人が、一般向けに広くノウハウを提供するという切り口も面白いです。

例えば、書籍編集者だけが知っている売れる企画の作り方みたいなものであれば、見た人を「なんだろう?」という気持ちにさせられます。

テレビのバラエティ番組でも、ドラマのNG集を取り上げていることがありますよね。

あのように、人がなかなか立ち入れない領域や、表に知られていない情報に興味を抱く人は、常に一定数いるものです。

 

テーマ同士を掛け算してみる

違うテーマ同士を掛け算することで、まったく新しいものだと思わせることもできます。

 

例えば「フェイスブックでブランディングする」という切り口があります。

フェイスブックとブランディング、この2つはまったく異なるテーマですが、掛け合わせることで新しいジャンルを作り出すことができます。

 

シリーズを狙ってみる

実用書の場合、シリーズとして出版を狙えないか考えるのもありです。

 

実のところ出版社は、作った書籍ができるだけ長く書店に置いてもらえるよう、シリーズを増やしていきたいという思いを持っています。

これは書店員がどう感じるかを狙っているところもあります。

書店員としては、シリーズ本を置くと棚が綺麗ですし、書店に訪れるお客さんの中にはシリーズで揃えたいという欲求を持っている人がいるからです。

 

シリーズを狙うことのメリットは、既に出版されている他の書籍があるので、書き方のイメージもできるという点。

初めて書籍の原稿を書く人は、書き方がわからず苦労しますが、参考となるシリーズ本があれば、原稿を書く上でも取り組みやすいでしょう。

 

もうひとつ、シリーズ本のメリットがあります。

 

それは、売れ行きがよくなく一度平積みから棚差しになってしまった書籍でも、後発としてシリーズ本が発刊されることにより、再び平積みに戻る可能性が高くなることです。

棚差しよりも平積みの方が圧倒的に目立ちます。

 

考えた切り口をいくつかの視点でチェックする

企画の切り口が固まったら、本当にその企画で良さそうか、客観的にチェックしてみましょう。

書籍の代金はおよそ1500円くらいですが、その価格に対して寄せられる期待以上の価値は提供できそうでしょうか? 自分だけが満足しているだけではいけません。

少なくとも、その悩みや欲求を持っている人たちが、お金を出してでも買いたくなるような企画になっている必要があります。

 

また、人に教えたくなるような内容になりそうかもチェックしてください。

読んで「よかった」と感じてもらうだけでなく、人にも「これがオススメ!」と言ってもらえるようなものができれば、口コミなどでも広がっていきます。

今はSNSがありますから、自分の書籍をシェアしてもらうことで、加速的に広がっていくことが期待できます。

 

他にも、お客さんがその書籍を堂々とレジへ持っていけるかどうかも、案外大切です。

「レジの人に見せたらどう思われるのかな?」と買うことを思いとどまってしまうような企画は、いくら面白くても考えものです。

 

別れた恋人と復縁したいと考えるとき、女性は書店で復縁本を購入する人も多いですが、男性はなかなか恥ずかしくてできないようです。

今はネット書店もありますから、そちらで購入してもらえればよさそうですが、売れ行きをみると、やはりリアル書店の総数にはかないません。

書店で買いやすいタイトルにするということは、その分購入してもらえるチャンスも増えるのです。

 


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