電子出版をすると商業出版の足枷になる
日頃、電子書籍を読んでいる人も多いと思います。
電子書籍の出版も、出版であることには変わりありません。
紙の商業出版が無理なら、電子出版をしようと考える人の数も、以前より増えてきたように思います。
中には、電子出版を商業出版と同様に捉え、「出版しました」と仰っている人もいますが、はっきり申し上げ、電子出版は商業出版の代わりにはまったくなりません。
ここで、電子出版という言葉の定義をしておきましょう。
本書でいう電子出版とは、商業出版されている出版物の電子化ではなく、電子出版だけしかされていないもののことを指します。
電子出版は商業出版の代わりにはならないとお伝えしましたが、電子出版がダメだという意味ではありません。
電子出版はその特徴を活かした別の使い方があると思いますし、実際に電子出版を活用して、リストを獲得したり、毎月何十万円も稼いだりしている著者もいます。
商業出版の代用にはならないが、ビジネスには使える。それが電子出版です。
私がそう考える理由としては、次のようなことがあります。
編集者が介在しないクオリティになる
電子出版しかしていないものを見てみるとわかるのですが、どれもレビューが低評価もしくは荒れています。
その理由は明白で、キンドル出版に代表されるような電子出版の場合は、出版物に編集者が介在していないからです。
例えばキンドル出版の場合、著者が原稿料を提供し、かつその制作費に関しても著者が負担するケースが多いです。
編集者がほとんど介在しないので、書いた原稿がそのまま掲載されてしまいます。
ということは、著者に編集者としての企画力や執筆力も求められるということ。
これまで、一度も修正なしで原稿がOKになった著者はひとりもいませんし、プロのライターが書く原稿であっても、書き直しが発生しないなんてことは、ほとんどありません。
編集者が介在し、書き手と編集者が切磋琢磨しながら作りあげられることが商業出版のクオリティを担保しているのに対し、キンドル出版の場合は、編集者が介在しないのでクオリティの担保ができません。
編集者を介在させることは可能ですが、その分コストがかかります。
コストは著者が負担することになりますから、負担するコストが増えれば増えるほどキンドル出版をしたいという人が減ってしまう恐れがあります。
著者自身も、コスト負担を少なくしたいので、「ま、いっか」となってしまい、結果低品質のコンテンツができてしまうのです。
どれもレビューが低評価な理由は、おそらくそんなところでしょう。
ブランディングになりづらい
電子出版は、ブランディングをするという意味でもイマイチです。
というよりも、ほとんどその効果は得られないと言っていいでしょう。
声を大にして言いたいくらいですが、商業出版の最大の価値は、自分の書いた出版企画書に対し第三者からの認定が行われることです。
要するに、商業出版は、あなたの持っているノウハウに対し、他人から300万円の投資をする価値があると言われたという証明です。
自分でお金を出して作ったものに対し、いくら「出版した」と言っても、「お金を出せば誰でもできるよね」と思われておしまいです。
そういう意味で、電子出版でブランディングすることは不可能です。
その上、電子なので相手に直接見せたり渡したりできないのも、説得力に欠けます。
商業出版のように紙の書籍があれば、相手に「これが私の本です」と見せることができますが、電子出版ではできないのです。
お金を出して出版したというレッテルが貼られてしまう
これは、出版社からどう見られるかという話になりますが、先ほどもお伝えしたように、電子出版は自分でお金を出して出版する形態のものです。
ということは、第三者から見たあなたは、自分でお金を出してでも出版がしたいと考える人だと思われてしまうということです。
自分でお金を出して電子出版するくらいなので、商業出版ならもっとお金を出せるはずだろうと、足元を見られてしまうこともあります。
でも、こればっかりは自分で撒いた種ですし、どうしようもありません。
ですから、商業出版を将来的に考えるのであれば、安易に電子出版に手を出すのは控えるべきです。
ただ、ビジネスを加速させるためのツールのひとつとして、相乗効果を狙えるような形にするのであれば、それもひとつの方法としてはアリなのかなと思います。
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