あなたのビジネスを加速させることを目的にする

 

ビジネスを加速させる場合、目的が一番大事

目の前のことに必死になるあまり、自分が今どこに向かっているのか、そもそもなんのために必死になるのかがわからなくなる人がいます。

ここまであなたには、出版における企画の考え方について学んでもらい、その考え方から、出版企画のコンセプトコピーを作るところまで行っていただきました。

 

ここから先は、企画の考え方についてさらに理解を深められるよう解説していきますが、ここで今一度、あなたに再確認していただきたいことがあります。

どんなことかというと、なぜ出版をするのかという目的です。

あなたが出版する目的は、あえて言うまでもなく、自分のビジネスを加速させるためですよね。

これまで以上に仕事のオファーを増やしたいとか、ブランディングを強固にしたいとか、さまざまな願望があるかと思います。

 

でも、繰り返し言っていますが、出版することで結果的にこれらの願いが叶えられていくことはあるでしょうが、ただ単に出版しただけではビジネスは加速しないのです。

では、出版でビジネスを加速させるために必要なのはなんでしょうか。

 

私の考える答えは、「信頼」です。

信頼と信用を間違えている人がたまにいらっしゃいますが、書籍の出版で得られるのは信頼ではなく信用の方。

出版しているという事実によって可能になるのは、まったくあなたのことを知らない人から「本を出しているのだから、変な人ではなさそう」と信用してもらいやすい状態を作るところまでです。

 

見ず知らずの人から信用されることは、実際とても難しいことですし、信用力の有無はビジネスをスムーズにする上で大事です。

そういう意味では、出版は絶大な効果をもたらしてくれますし、即効性もあります。

ですが、それだけではビジネスを加速させることはできません。

ビジネスを加速させるのに必要なのは、信用よりも「信頼」。

つまり、ただ出版するだけではダメで、書籍を通して、著者と読者との関係性の中でいかに信頼関係が作るかが大切なのです。

 

まれに、書籍の本文の中で、自分のビジネスの宣伝をしたり自慢話ばっかりしたりするような人がいらっしゃいます。

でも、そういうことをする人たちが、果たして本当に読者から信頼してもらえるでしょうか。

 

例えば、読者に書籍を購入させたにもかかわらず、ノウハウの一番大事なところを書くことなく「続きはwebで」と、高額商品の販売ページやメルマガに登録させようとする書籍もあったりします。

そうした書籍の良し悪しについては、あえてここではふれませんが、そのような書籍は等しくAmazonなどのレビューが荒れています。

 

幾ばくかの売り上げは立つかもしれませんが、レビューが荒れることにより、結果的に長期では売れにくくなっていきますし、逆ブランディングにもなりかねません。

ですから、やはりここは真っ当に、読者に対して誠実に向き合うべきというのが私の考えです。

 

ビジネスにつなげることだけにこだわらない

出版によってビジネスを加速させ、その効果を長期にわたって享受したいのであれば、まず読者から信頼してもらえるように書籍の中で出すべき情報はしっかり出し切りましょう。

 

情報を出しすぎて書籍だけで満足させてしまったら、商品に申し込んでくれる人が少なくなってしまうのではと恐れる人もいます。

そのような心配もわからなくはありません。

でも、「ここまで教えてくれるなんて」とか「こんなに丁寧に解説してくれるなんて」と読者を感動させるような内容になっているのであれば、おそらく多くの人があなたのファンになってくれるはずです。

 

たとえ書籍の中でその人の悩みが解決されてしまったとしても、あなたに対する信頼が生まれていれば、次の書籍を出版したときに応援してくれるかもしれませんし、知り合いに紹介してくれるかもしれません。

必ずしも最初にあなたの書籍を手に取った人だけがお客さまになるわけではなく、そこから派生していくことだって考えられるのです。

 

読者から信頼され、心をわしづかみにできるような書籍を出版することができれば、それは未来への布石になります。

出がらしのような情報で満足させようとするのではなく、あなただからこそ言えることをしっかり伝え、読者からの信頼を獲得してください。

 

「ひとりのお客も逃したくない」というよこしまな考えは捨て、「今じゃないと思うなら、それでもいい」と考えておくくらいでちょうどいいと思います。

あなたのファンになった読者は、ちゃんとあなたの見込み客になるのです。

ですから、ビジネスを加速させることだけにこだわらず、長期的な視野で考えれば、ファン作りだって、出版の目的のひとつになり得ます。

 

専門家としてのブランディングすることで発信力も増す

出版することで、そのカテゴリやジャンルの専門家としてブランディングすることを目的にすることもできます。

 

実用書を出版する場合、とくに専門家じゃなくても出版することが可能だと言いましたが、出版すると専門家としてブランディングがかかります。

これって、少し不思議で面白い話ですよね。

 

出版の目的は、何も自分のビジネスへの集客だけが目的になるわけではありません。

出版して特定のカテゴリの専門家としてブランディングすることを目的にしてもいいでしょう。

実際、本書の中でも事例として紹介している著者の中には、専門家としてブランディングすることを目的として出版した人もいます。

 

さらに、出版してブランディングすることで、あなた自身の発信力も自然と増します。

 

自分のことばかりを考えずに、三方よしを狙う

書籍を通して読者との間に信頼関係ができれば、おそらくあなたのビジネスは加速するはず。

いや、むしろ私は、あなたにその目的を達成してもらうために今こうして本書を書いています。

でも、いくら自分のビジネスを加速させたいからといって、最初から最後まで自分のことしか考えないようではいけません。

出版社があなたに出版させるということは、あなたの出版企画に対し300万円を投資するということです。

信用して投資した相手が、出版した途端手のひらを返すようなことをしてきたらどうでしょうか。

 

自分のことしか考えていない人は、最初はよくても次第に誰からも応援してもらえなくなります。

そんなことあるわけないと思うかもしれません。

でも、事実そうなっていった著者はごまんといます。

せっかく出版をするのですから、大勢の人からいつまでも求めてもらえるような幸せな著者になってもらいたいものです。

そのために一番いいのは、三方よしの考え方を取り入れることです。

 

三方よしは、もともと近江商人の経営哲学として知られています。

売り手と買い手が潤うだけでなく、社会にも貢献できるような商いをするのがよいというものです。

 

私は、この考え方を取り入れ、読者と出版社そして著者であるあなたも幸せになれる方法を考えることを提唱しています。

 

では、読者と出版社そして著者であるあなた自身に対して、具体的にどのように考えれば三方よしの状態が作れるのでしょうか。

それぞれの立場から考えてみましょう。

 

読者に対しては・・・

読者は、書籍を読んで情報を得るだけだと思っている人もいますが、情報を得る前に必ず書籍代を支払います。

書籍1冊あたり大体1500円だと考えるとすれば、少なくとも1500円以上の価値のある情報を提供するのが当たり前です。

書籍の値段というのは、ある意味読者との約束だと捉えることもできます。

少なくとも、書籍代を支払う価値ある情報だということを約束するわけです。

 

ただ、1500円くらいの価値ならこのくらいと言って出し惜しみするのはやめましょう。

その理由は、再三お伝えしてきた通りです。

たった1500円くらいで……と思う人もいるかもしれませんが、書籍を購入するために書店へ足を運ぶなど、購入までの手間もありますし、その書籍を読む時間も含めた価値を提供しましょう。

 

出版社に対しては・・・

出版社に喜んでもらうにはどうすればいいでしょうか。

それは当然、書籍が売れ、利益が出るようにすることです。

とはいえ、どんな書籍も青天井で売れるわけではありません。

ですから、著者としてできることは、少なくとも損益分岐点までの責任を負うことです。

出版するまではすごくいい人のようでも、出版した途端、態度が変わってしまう人もいます。

いざ売れ残ってしまった書籍をどうするかという話になった時に、急に連絡がつかなくなる人もいます。

 

出版社は、少なくともあなたを信じ、あなたに投資をしてくれるわけです。

そう考えると、少なくとも出版社に損はさせないようにしてほしいものです。

 

著者(自分)に対しては・・・

読者や出版社だけでなく、当然あなたにも良いことがなくてはいけません。

あなたにとって良いこととは、もちろんビジネスが加速することでしょう。

ただ、あなたを信じた出版社に対し、損をさせないようにしなくてはなりませんから、自分が売りたくなるような書籍を出すことが大事です。

「この本が売れれば、ビジネスにつながるかも」とか「本が売れれば、権威性が高まるかも」と思えば、本気で売る気にもなれるというもの。

だからこそ、私は出版でビジネスを加速させる事を推奨しているのです。

 

出版プロデューサーの中には、ベストセラーを出そうと推奨する人も中にはいますが、本書でお伝えした通り、ベストセラーは狙ってできる類のものではありません。

でも、出版社に少なくとも損をさせないことができていれば、出版社からの皆さんに対する信用もたまっていきます。

そうすれば、もしかすると2冊目、3冊目の出版のチャンスをいただけるかもしれません。

皆さんにとっても、そのほうがいいのではないでしょうか。

 


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