一般的な出版企画書の仕様について
出版企画の考え方は、一度できるようになってしまえば、扱うテーマやジャンルが変わったとしても応用が効きます。
出版企画は書籍の編集者にしかできないことではありませんし、何冊も出版している著者の中には、私も「いいね!」と即答できるようないい企画を立てられるようになってくる人もいます。
さて、企画のコンセプトが固まり、自分の出版企画が出来上がったら、次はいよいよ企画書を作成していきます。
ここでは、一般的な出版企画書の書き方について説明します。
まず、出版企画書に必要な項目は、次のとおりです。
- 書籍のタイトル
- 企画概要
- 著者プロフィール
- 構成案(書籍の目次のこと)
- 読者ターゲット
- 類書
- 販売促進
- 仕様
私のように普段から編集者として書籍作りに携わっている人間であれば、必要な項目としてタイトル企画概要、著者プロフィール、構成案があれば、話を聞いてもらうことができます。
皆さんが出版社へ直接売り込みに行かれる場合は、これだけでは不十分です。
読者ターゲットや類書のほか、どのように書籍の販促を行う予定なのかなども具体的に示しておきましょう。
企画書を作成する上でのポイントは、A4の紙2枚に収まるように作成することです。
企画書は、多すぎても少なすぎてもいけません。
企画書の中に自分の考えや想いをとことん詰め込んだところで、その企画書を受け取るのは、あなたのことを何も知らない編集者です。
出版社側としてはビジネスで出版するわけですし、他人から突然長文の企画書を送られてきても困ってしまいます。
少なすぎてもいけないのは、その企画に対するあなたのやる気が伝わりにくいからです。
やはり300万円という大金を投資するわけですから、あっさり簡単とまとめられたような企画書を見たところで、投資したいという気持ちは起こりにくいです。
企画書を読む相手の負担にならない程度の量であり、かつあなたの本気度が伝わるような量が良いでしょう。
出版企画書の書式についての質問も度々ありますが、ベストはテキストファイルです。
ワードファイルやPDFファイルでも構いませんが、編集者が社内の会議用に書類を作成する際の手間を考慮すると、フォントデータなどに影響されないテキストファイルが一番ありがたがられます。
テキストファイルでなければダメだという話ではなく、そのような配慮ができる人だと伝われば、あなたに対する印象がよくなるという話です。
出版企画書を書く前に知って欲しい心構え
続いては、出版企画書を書く時の心構えについて説明していきます。
ときどき、「出版して世の中をよくしたい!」と出版することに意気込まれる人がいらっしゃいます。
でも残念ながら、それは無理です。
そもそも出版社は、そのような意気込みで出版しているわけではありません。
再三書いていますが、出版社はあくまでもビジネスとして書籍を作っているのであって、文化を作ろうとか世の中を変えようという意識でビジネスをしているわけではないのです。
たくさんの人から書籍が購入してもらえるような書籍を目指した結果、書籍に影響された人たちが増えた。
その人たちの影響で、流行が生まれた。
というような流れは、確かにあるかもしれません。
でも、あくまでも起点はビジネスであり、世の中のためではありません。
ビジネスですから、利益を出すことを目指します。
より売れる書籍を作るために、読者の求めていることを提供し続けなくてはならないのです。
それから、世の中には私と同じように出版プロデュースを仕事にしている人たちがいます。
その人たちの中には、「出版して自分の名刺を作ろう」とセミナーなどで謳っている人もいます。
出版社の人たちも、現にそのような人たちがいることを知っていますから、企画書の中に、あまりに独りよがりなことを書いたりしてしまうと、「この人は出版社のお金で、自分の名刺を作りにきたんだな」と捉えられかねません。
通る企画書を作りたいなら、出版社の立場を考えて作るのが一番近道です。
出版企画書を提案書だと思っているかもしれませんが、企画書を投資案件として考えれば、感覚としてわかりやすいと思います。
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