原稿執筆に取り掛かる前にしっかり準備
原稿の執筆準備の流れは、次の図にあるように、3ステップで行います。
最初にやることは、今回の書籍で伝えたいことをまずはひたすら書き出してみることです。
どんなことでも良いですし、書く順番も気にしなくて構いません。
A4のコピー用紙などでも構いませんから、余計なことは考えずに、書籍の中に入れた方が良いと思う情報を次々に出していきます。
次に、先ほど出した情報をグルーピングしていきます。
同じカテゴリもしくは、同じトピックの中で話せそうなもの同士をまとめていきます。
そうしてまとめたものには、何かのテーマなどを与え、カテゴライズしていきます。
この作業は、書籍でいう「章」を作っていく作業です。
一般的に書籍は、6章立てでできていますから、6つくらいに大きくグルーピングできていれば良いでしょう。
グルーピングができたら、それぞれのグループの中で階層を作り、順序立てて流れを作ってみてください。
ここで、書籍の構成について説明しておきます。
構成案については、本書の3章でも図を用いて説明しましたが、復習としてもう一度説明します。
書籍の構成には、章、節、項というものがあります。
「章」というのは、先ほどカテゴライズした大きなテーマであり、小さなトピックの集合体を示すものです。
次に「節」とは、あなたが書き出したもの。
そして「項」とは、節の内容を具体的に説明するための見出しです。
ひと通り書き出した箇条書きのものの内容を精査しながら、それぞれの「章」となるテーマの中に分類し、どのような順番で伝えるのか階層化してみてください。
そうしてできたら、全体を俯瞰してみて、全体としての流れがスムーズになっているか。
あるいは重複がないかどうかを精査します。
書籍に書きたいこと、書くべきことを精査する
それでは、具体的にそれぞれの手順を詳しく説明していきます。
まずは、書くべきことを書き出すというところです。
ここでのポイントは、次の3つです。
自分が書きたいことを書き出す
まずは自分が書籍を通して読者に伝えたい、あるいは伝えなければならないと感じることを書き出してください。
とにかく思いついたものをひたすら書き出し、箇条書きにしてください。
この段階では、あまり深く考えずに、思いついたことをどんどん書くことが大事ですから、通勤途中やお風呂に入っている時、料理を作っている時など、突然ふと浮かぶこともあります。
その瞬間を見逃さないようにしてください。
思いつたらすぐにメモできるように、いつもメモ帳を持っておくと良いでしょう。
スマホのメモ機能も良いですが、手書きの方がアイディアが浮かぶという人もいます。
類書の内容もチェック
ひととおり書き出したと思えたら、次は類書の内容をチェックしてください。
企画書を作成する時には、類書の分析をしたと思いますが、もう一度確認します。
ここで類書をどのように使うかというと、自分の書き出した内容の不足を補っていくためです。
類書に載っているのに自分の書籍に載っていない情報があるということは、自分の書籍の方に不足があるということです。
もちろん何でもかんでも掲載すれば良いというわけではありませんが、全部自分の中から出し切ったと思っていても、忘れていることがあったりもします。
新しく刊行されるあなたの書籍は、後出しジャンケンと同じで、類書に比べ自分の書籍の方が劣っているわけにはいきません。
ここで注意していただきたいことは、類書の内容をそのまま書くわけではないということ。
あくまでも類書を参考にするのは、不足している話題、書くべきなのに出されていない話題がないかどうかを調べ、あればその話題を補うために類書を活用するのです。
アンケートやネットの情報もチェック
あなたが過去にセミナーを実施され、そこでとったアンケートがあるのなら、そこに書かれた参加者の声も参考にしてみましょう。
セミナーの参加者は、あなたの書籍の読者と最も近い人たちだといえます。
ですから、その参加者の声を書籍の内容として反映させることは、読者のニーズに応えることにもつながります。
また、ネットの情報もチェックしてみてください。
もしかしたら最新の情報が変わっていたり、新しい話題が出てきていたりすることもあります。
情報の鮮度でいえば、書籍よりもネットの情報の方が新しい情報にふれられます。
ですから、書籍に入れた方が良さそうなことがもしあるのなら、それも書き出しておいてください。
書き出したものをグルーピングしてカテゴライズ
ひととおり箇条書きで書き出してもらったものを、今度はグルーピングしてカテゴライズしていきましょう。
今あなたの手元には、ただひたすら書き出した情報だけがたくさんある状態です。
まずは全体を仕分け、同じ種類のものを集めます。
同じ種類のもの同士を集めたら、次は分類した上で、カテゴライズしていきます。
書き出しただけの情報をどのように整理していくのか。
続いては、その方法を説明していきます。
一緒に説明した方が良いものをまとめる
まずは、書き出してもらったものの中から、一緒にした方が良い話題をまとめてみましょう。
「これはここで話した方がいいだろう」や「この話題はこのテーマの中で話そう」というふうに、同じ話題同士で整理していきます。
ジャンルやタイミングで括ってみる
次に、グルーピングしたものをカテゴライズしていきます。
カテゴライズするときの方法は、ジャンルを細分化して括る方法(並列)と、タイミング(直列)で括る方法があります。
ジャンルやタイミングで括るとは、どういうことでしょうか。
ネット集客しようとした時、Facebook で集客、アメブロで集客、ツイッターで集客という内容が入ってくると思います。
この3つの話題はどんな順番で話されても読者にとってとくに問題はありません。
関係ないので、どの順番にしてもよいというのが並列の考え方です。
次にタイミング(直列)というのは、そのテーマを行う手順や時系列のことです。
例えば本書でいえば、出版してビジネスを加速する方法というテーマです。
このテーマについて説明するためには、まずは出版の全体像を知ってもらい、次に企画書の考え方を説明し、企画書の書き方を説明するというような手順に沿って説明する必要があります。
つまり直列というのは、そのテーマを実践するための手順ということです。
重複しているものを消していく
グルーピングしてカテゴライズできたら、次は各カテゴリの中において重複するものがないかどうかをチェックしていきましょう。
同じこともしくは似ていることを言っている情報があれば、どちらかにするなどしてスリムにしていきます。
さらに階層化と順序立てをして流れを作る
書き出した情報を整理し、きれいにカテゴライズできたら、次にすべきことは階層化と順序立て、そして全体の流れを作ることです。
まずは、カテゴリ単位で考え、全体としてどのような順番で伝えたらいいかを考えましょう。
この時、なるべく企画書の構成案に揃えるのがベストです。
出版社と話をして決めた企画書と、構成は多少ずれても良いのですが、全体の趣旨が変わらないように注意してください。
次に、カテゴリの中のものを階層化して、節や項を決めます。
この時、節や項を決めるためのヒントとしては、話題の大きさが大事です。
これ以上細かくできない話題があれば、それは最小トピックである項としてふさわしい話題でしょうし、話題として伝えるべきことがたくさんありそうなものは、節としてふさわしい話題だと考えられます。
節や項まで決めることができたら、次はそれらをどのような順番で話をしたら良いのかを決めてください。
書籍全体の話の組み立ては、まず章ごとに組み立て、その後に節を組み立てるようにします。
章の役割は、書籍の大きな流れを作ることです。
そして節は、章と章をつなぎます。
例えば1章から2章へ話をつないでいくための節は、どういった順番にすれば、話が流れていくのかを考えてみてください。
俯瞰してみて、流れや重複などをチェックする
そろそろ、くどいと感じる人も出てきているかもしれませんが、ここまでできたらやはり大切なのは俯瞰的な視点です。
出来上がった話の流れやそれぞれの章の階層を確認してみて、流れに違和感がないか。
あるいは重複している箇所がないかどうかをチェックしてください。
私が再三、「俯瞰して欲しい」とか「全体としての流れを考えて欲しい」というのには、やはりそれなりに訳があります。
それは、あなたが今作ろうとしているものが、「書籍」だからです。
書籍というのは、1冊全体でその価値を問われます。
というのも、やはり実用書という存在は、どこまでいっても読者の欲求や悩みに応えるものであるからです。
書籍1冊をあっという間に読んでしまう人も世の中にはいますが、実用書の場合は、ある種手引書とも言えるわけですから、あっという間に読み切るようなものではありません。
中には、書籍を片手に、実際の作業を行う人もいます。
つまり、あなたは著者として、書籍の内容を通じて読者に伴走するわけです。
最後までできるようにしてくれると約束したにも関わらず、途中でいい加減になったり、投げ出してしまったりするような人を信頼したいとは思いません。
あなただって、自分が悩みを解決するために誰かを頼る際、ムラがあり、いい加減な人に頼みたいとは思わないはずです。
最初から最後まで、バランスよく情報を提供してくれ、当初約束したところまで導いてくれる人に頼みたいと思いますよね。
だからこそ、俯瞰力が大事。
読者がつまずくところがあってはいけませんし、何度も同じことを繰り返し言われては、ガッカリもします。
各章がまったく同じボリュームなるようにしなくてもいいのですが、バランスは大事です。
その上で、読者を置き去りにしないように話を組み立ていくのです。
チェックするときは、階層ごとにチェックしてください。
もしここで、不足している情報を見つけたり、重複しているところを見つけたりしたら、その都度修正してください。
その際に、章タイトルは章タイトル、節タイトルは節タイトルなどと、統一感が出るように見出しを考えることもしてみましょう。
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