自分の知識や経験はコンテンツになる?

「コンテンツビジネスに興味はある。でも、自分には売れるようなネタがない」——この相談、本当に多いのです。そして、ほぼ全員が間違っています。

結論から言うと、売れるテーマは「特別な経験」の中ではなく、「あなたの実体験」と「誰かの悩み」と「市場の存在」が重なる場所にあります。ネタがないのではなく、探す場所と見つけ方を知らないだけです。

この記事では、「生きている限り、全てがコンテンツ」をモットーに、自らも10を超える肩書でコンテンツを作ってきた立場から、テーマの見つけ方と検証の方法を解説します。

なぜ「自分にはネタがない」と思ってしまうのか?

理由はシンプルで、自分の価値は自分には見えないからです。

10年続けてきた仕事の段取り、無意識にやっている工夫、乗り越えてきた失敗——本人にとっては「当たり前」で、価値があるとは思えません。ところが、その道の入口に立っている人から見れば、喉から手が出るほど欲しい情報です。

つまり、ネタの有無を自分の感覚で判断してはいけないのです。判断基準は「自分がすごいと思うか」ではなく、「誰かが知りたがっているか」。この視点の転換が、すべての出発点になります。

売れるテーマの3条件とは?

テーマ候補は、次の3つが重なる場所から選びます。

条件1:実体験があること。本やネットで調べた知識の寄せ集めは、AIで誰でも作れる時代です。あなたにしか書けないのは、実際にやってきたこと、失敗したこと、乗り越えたこと。一次情報の有無が、コンテンツの生命線です。

条件2:誰かの悩みに応えること。「伝えたいこと」ではなく「知りたがられていること」。あなたの経験を、具体的な誰かの、具体的な悩みに接続できるか。ここで対象を絞るほど、コンテンツは強くなります。「みんなに役立つ話」は、誰にも刺さりません。

条件3:市場が存在すること。その悩みで検索する人がいるか、類書や類似講座が売れているか。競合の存在は敵ではなく、市場がある証拠です。むしろ、競合がまったくいないテーマは「需要がない」可能性を疑ってください。

棚卸しは、具体的にどうやるのか?

3条件を探すために、次の5つの質問に答えて、出てきたものを全部書き出してください。

  • 仕事で10年(または人より長く)やってきたことは何か
  • 人からよく聞かれること、頼られることは何か
  • お金や時間を人より多くかけてきたことは何か(趣味も含む)
  • 過去に苦労して乗り越えた問題は何か
  • やっていて苦にならない、つい語ってしまうことは何か

ここでのルールはひとつ、「こんなのダメだ」と自己検閲しないこと。趣味も、失敗談も、遠回りした経験も、全部候補です。私自身、システム手帳、ホームシアター、ポイント投資、観光列車——傍から見れば「ただの趣味」を、発信によって取材される専門コンテンツに育ててきました。生きている限り、全てがコンテンツ。これは精神論ではなく、実践論です。

競合が強いテーマでは、どう戦うのか?

条件3を満たすテーマには、当然、先行者がいます。ここで使うのが「ずらし」です。正面から同じ土俵で戦わず、切り口をずらしてブルーオーシャンを作る。ずらし方は主に3つあります。

  • 対象をずらす:「英語学習」→「50代からやり直す英語」「エンジニアのための英語」
  • 掛け算でずらす:自分の経験を2つ掛ける。「経理×フリーランス」「営業×人見知り」。掛け算した瞬間、競合は激減します
  • 視点をずらす:同じ情報でも語る立場を変える。「教える側」ではなく「失敗した側」から語る、など

私自身の例を挙げると、観光列車の発信では「”鉄”ではない一般乗客の目線」という視点のずらしを取りました。鉄道の専門家は大勢いますが、車両の知識ではなく「旅として楽しめるか」で語る人は少ない。この切り口が、結果としてテレビ番組から声のかかる理由になりました。ポイント投資も同じで、「投資の専門家」ではなく「ポイントという身近な入口から語る研究家」というずらしです。

差別化は、情報量では作れません。誰もが同じ情報にアクセスできる時代、勝負を決めるのは切り口——つまり視点と角度です。

テーマは、どう検証すればいいのか?

テーマ候補が決まっても、いきなり商品を作ってはいけません。先に小さく検証します。

方法は3つ。①そのテーマでブログやSNSの発信を始め、反応(読まれる記事・聞かれる質問)を見る。②Amazonで類書を調べ、レビューを読む。特に低評価レビューは「既存の本が応えていない悩み」の宝庫です。③周囲の該当しそうな人に、実際に悩みを聞いてみる。

検証で手応えのあった切り口だけを、講座や書籍に育てていく。この順番を守るだけで、「作ったのに売れない」の大半は防げます。テーマが決まったあとの育て方は、「知識や経験を収益化する6つのステップ」をご覧ください。

よくある質問

Q. 仕事ではなく趣味でもコンテンツになりますか?

なります。お金と時間を人より多くかけてきた趣味は、立派な専門性の素材です。実際、趣味から始まった発信が取材や書籍につながる例は珍しくありません。条件は仕事の場合と同じで、誰かの悩みや関心に応えられるかどうかです。

Q. テーマがニッチすぎる気がします。大丈夫でしょうか?

ニッチ自体は強みです。確認すべきは、そのニッチに「検索する人・お金を払う人」がいるかどうか。類似の講座・書籍・発信者が少数でも存在し、一定の反応を得ているなら、市場はあります。

Q. テーマ候補が複数あって絞れません。

最初から一つに絞る必要はありません。2〜3の候補で発信を始め、反応の良いものに寄せていくのが現実的です。ただし、最終的には「何の専門家か」が一言で言える状態を目指してください。

Q. 実体験はあるのですが、体系的に語れる自信がありません。

体系化は後から、編集の技術で解決できる問題です。先に必要なのは素材(実体験)であり、それはあなたがすでに持っています。構造化が苦手なら、そこは棚卸しのプロや編集経験者の力を借りる価値があります。


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この記事を書いた人

山田 稔(やまだ みのる)
コンテンツプロデューサー、現役書籍編集者。編集歴30年以上・1,500冊以上の書籍制作に携わる傍ら、「生きている限り、全てがコンテンツ」をモットーに、観光列車評論家、ポイント投資研究家、FIRE投機家、システム手帳研究家、ホームシアター評論家など10を超える肩書で雑誌・書籍・テレビ・ラジオの取材を受けるスラッシャーとして活動。コンテンツビジネス研究所では、知識や経験をコンテンツに設計し、Kindle出版・オンライン講座・商業出版・生成AI活用で収益化する方法を研究・発信している。編集者として300人以上の著者を商業出版に導いた経験と知見が、その方法論の土台。著書に『ひとりではじめるコンテンツビジネス入門』『コンテンツホルダーのためのChatGPT超入門』『生成AI×Kindle出版』などがある。
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